DESIGN

MOROSO, the beauty of design

モローゾの新しいデザインアプローチ
2025/06/13

AD WORLD は、2025年3月からイタリアのコンテンポラリーデザインファニチャーを牽引する ブランド、MOROSO の輸入販売を開始しました。
常にミラノサローネでアイコニックな新作を披露してきたモローゾ。2019 年のサローネからはデザインアプローチを変化させています。ミュージアム的にプロダクトをフォーカスするのではなく、空間をコーディネートするエレメントと捉え、多彩なファブリックコレクションによってプロダクトに新しい表情を与え、アイコニックなデザインが調和したモローゾワールドといえるオーガニックな空間を創出させています。そして、新作は有機的な形にこだわり、パンデミックの前年に示したモローゾのこの姿勢は、今求められている感性を予見したかのようです。
これまでのモローゾの歩みと、新しいデザインアプローチについてご説明します。

70 年を超えるファミリービジネス

イタリア北東部のウディネにおいて、1952 年にソファ、アームチェア、家具アクセサリーの製造工場として、モローゾ夫妻が設立しました。現在は次世代が経営を引き継いでいます。多くのインテリアブランドがファンドの傘下に入る中、ファミリービジネスを貫いています。製造および経営のフィロソフィーを守り、迅速な判断により、常にインテリア業界の耳目を集めるデザインファニチャーのリードカンパニーです。Comfortable and durable、快適で耐久性のあることを信条として、精緻な手仕事と技術革新の融合により、布張り椅子のトップメーカーとして評価されています。

デザイナーとの協業

1968 年にアントニオ・チッテリオ との協業をはじめ、ソファはゲストを迎えるためのものだけではないという考えから、快適さとシェープを人間工学的に追求したモジュールソファを開発しました。その後も著名デザイナーとの協業は続き、1990 年にロン・アラッドの金属製のアートピース「Big Easy」をSoft で座り心地が良く工業化できるように再構築した「Soft Big Easy」を開発。その独特な丸いフォルムに沿って張れる伸縮性のあるファブリック「Divina」をKvadrat とともに生み出しました。サローネで発表された「Big Easy」を核とした「Spring Collection」は、シェープ、ボリューム、カラー、テキスタイルの理想的な調和として称賛されました。1998 年からパトリシア・ウルキオーラとの協業をスタートし、毎年新たなコレクションを発表しています。これまでに40 人を超えるデザイナーとともにデザインの可能性を開拓し続けています。


Spring Collection by Ron Arad, 1991

コンテンポラリーアートからのアプローチ

ロン・アラッドとの協業により、コンテンポラリーアートを基調としたアイデアをデザインに昇華するアプローチがモローゾの代名詞となりました。アイデアを具現化したプロトタイプからカタログ製品にするための工業的プロセスは実験的であり製造手法のイノベーションを即します。1994 年に設立された「More-So」というセクションでは、個性的なデザインを愛する人々に捧げる、コレクションアイテムといえるワンオフの家具やオブジェを製作販売しています。発表展示の空間もアイデアを現すインスタレーションとして仕立てています。この実験的なアプローチは製造にフィードバックされるだけでなく、あらゆるクリエイティブ業界に知見を与え続けています。


Design By Nature, 2021

サステナブルへのデザインアプローチ

トード・ボーンチェによるデザインで2009 年に発表された、「M’ Afrique」コレクションは、デザインを実現させるために、西アフリカ、セネガルの首都ダカールで作られています。現地で漁網に使われる糸を手作業で編んで作られます。幼少の時から生活のために漁網を編んできた手業をもってしか、この複雑な造形は生み出せません。伝統的な手工業を活かし、かつ現地に雇用を創出させるこのアプローチは、モローゾコレクション中唯一イタリア以外で製造される製品に対するサステナブルな姿勢が現れています。


Shadowy by Tord Boontje, 2009

テキスタイルによるデザインアプローチ

モローゾは2019 年のコレクションから、テキスタイルによるデザインアプローチを進めています。プロダクトをデザインするということは、それ単体ではなく、コーディネートされた空間の調和を思い描くことです。そのためにテキスタイルが果たす役割は重要だと考えます。視覚効果としての色使い、触覚としての素材感そして癒しを感じる座った時の身体感覚。これらにテキスタイルは大きくかかわっているからです。アイコニックな新作をドレスアップするように、アイテム専用の張地を用意するのではなく、すべてのアイテムを調和するコーディネートができるように、自由にテキスタイルを選択できるようにするということです。しかし、美しいシェープを保つために組成や伸縮性といった機能は満たさなければなりません。そのためにアイテムごとに使用できるテキスタイルをリストアップして提示しています。これまでテキスタイルのシリーズごとにまとめていたスウォッチを、コーディネートを前提として選びやすいように、シリーズを横断的にカラートーングループでまとめなおしています。


Salone del Mobile, 2019

自然を基調としたデザイン

2019 年に発表されたパトリシア・ウルキオーラのソファ「Gogan」によって、モローゾはより丸みのある有機的なシェープを追及しはじめました。日本語の護岸をもとに名付けられたこのコレクションは、川岸を守る積み石が水の流れで丸みを帯びなめらかになった様を現しています。
スウェーデンのデザインデュオ、Front Design(ソフィア・ラーゲルクヴィスト、アンナ・リンドグレン) によって2022 年発表されたソファ「Pebble Rubble」は、まるで自然界の巨石が空間にあらわれたかのような未知の体感をもたらします。デザイナーの言葉を引用すると、「自然界にある形から形を取りました。母国スウェーデンの子供時代、私たちの遊び場は森であり、岩、苔、倒木が家具であり、体を休める場所でした。私たちは森を何度も歩き岩を 3D スキャンし、これらの有機的な形状を組み合わせて家具のピースを作りました」。そして張地には、自然を1:1 で再現するという考えのもと、Front Design がKvadrat のためにデザインしたニット「Arda」や、風雨にさらされ苔に覆われた石を視覚的に再現したブークレ「Trono」「 Zampogna」が使われています。


Pebble Rubble by Front, 2022

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