FLOORING
究極の持続性マテリアル「コルク」

コルクという選択肢

機能的でエシカルな床材
2023/10/02

伐採せず、利用できる木質系材料「コルク」。究極のサステナブル素材であり、保温性、断熱性など、省エネルギーにつながる機能的な自然素材です。

サステナブルなマテリアル

イベリア半島と地中海沿岸にしか群生しないコルク樫。その3 割がポルトガルにあり、全世界のコルク製品の5 割を生産しています。
コルクの収穫はコルク樫の樹皮だけを剥ぐため、樹木自体の伐採をしません。樹皮を剥ぎ取られたコルク樫は、約9 年をかけてコルク層をより上質に再生させます。再生したコルク樹皮を専門の職人が再度剥ぎ取り、また9 年かけて生まれ変わります。良質なコルクが採取できるのは200 年間程度のため、9 年サイクルで1 本のコルク樫から約20 回コルク樹皮を採取することが可能です。皮剥ぎされたコルク樫は二酸化炭素を通常の3 ~ 5 倍も吸収します。

コルク樫の森が守る生物多相性

コルク樫の森林では、絶滅危惧種のイベリアオオヤマネコなどの貴重な動物や、350 種を超える多様な植物が生息しています。また、砂漠化に対抗する自然の防壁として働いています。コルクの樹木は土壌や有機物の定着に寄与し、浸食を減らし水分保持を促進します。
古くから、産業としてのコルク需要を満たすため、法律により守られてきたコルク樫の森。樹皮を採取できなくなっても伐採が禁じられてきたため維持された多様性。保護ではなく、人の手を入れながら利用と保全がバランスしたサステナブルな取り組みは、まさに今求められているSDG’sの模範解答です。

天然の機能性素材

古くからコルクが重用されてきたのは、ワイン等の飲料容器の蓋に最適だからです。弾力性によって漏れがなく、水分は通さず、適度に気体を通す性質は、ワインの瓶内熟成に欠かせない機能性です。収穫量の約3割が無垢のコルク栓に使われます。ワイン用の栓が取れる厚さに育つまで9年かかるということです。栓を打ち抜いた端材を粉砕して圧搾したものが掲示板などに使われるつぶつぶコルクとなります。

植物は細胞の周りに細胞壁という組織があり、成長を終えた細胞が無くなった後が空洞の、ハチの巣状の組織として固くなっていきます。コルク樫のコルク層は微細な空洞を多く持ち、空気を抱え込んでいる構造がユニークで、この特質が数々の機能性をもたらしています。「弾力性」「断熱性」「防水性」「吸音性」などの優れた機能性をフローリングのメリットとしてご説明します。

快適をもたらす機能的なコルクフローリング

<弾力性>
弾力性があるので歩行時の脚腰の関節への衝撃をやわらげます。歩行音も軽減します。足音が気になる美術館の床にも採用されています。長時間の歩行でも疲れにくいメリットも採用の理由です。立ち仕事の多いキッチンやユーティリティの床にも最適で、物を落としても大きな音がしません。この弾力性は滑りにくさにもつながります。転倒の防止や、ペットの爪が滑るのを軽減します。

<断熱性><防水性>
発泡スチロールが保冷箱に使われるように、空気を多く含むものは断熱効果が高く、石油製品化以前はコルクも断熱材として使われてきました。炭化させてより断熱性を高めた炭化コルクは、今も天然素材志向の住宅に断熱材として取り入れられています。ワイン栓に使われるように防水性も優れています。この性質がもたらすフローリングとしてのメリットは、裸足でも冬ヒヤッとせず、夏べたつかないことです。断熱性が高いことは保温性も高く、肌が触れた瞬間、空気層が体温を取り込み、冬でも温もりを感じます。夏は防水性ゆえに湿気を呼び込まず、汗ばんだ肌が触れてもサラッとした感触で、快適です。また、湿気があり、裸足で過ごすことの多い洗面脱衣所にも最適です。

<吸音性>
多孔質のスポンジ状のものに音波が当たると、内部に入った音のエネルギーが空気層に拡散されて反射音が減衰します。空気層を多く含むコルクも同じように反射音を抑える吸音性能を持っています。楽器の練習などで住宅に防音室を作る時にコルクフローリングが使われるのは、狭い空間で反響音を抑えて音を聴きやすくするためです。例えばホームシアターやオーディオルームで吸音のためのカーペットを敷く代わりにコルクフローリングという選択肢もあります。

海外のレコーディングスタジオの壁面にコルクが使われている例

つぶつぶコルクではない、スタイリッシュなコルクフローリング

コルクフローリングと聞いて、ホームセンターで売っているジョイントマットのように、掲示板のような茶色のつぶつぶコルクを思い浮かべると思います。私たちが扱う「コルクコンフォート」は、コルク製品をリードするポルトガルで作られています。表面は無垢のコルクを薄くスライスしたものを着色しています。粒に粉砕される前の自然なコルクの表情が生かされた、ヨーロッパの感性で磨かれたストーンライクなクールデザインです。グレーはコンクリート打ち放し、ホワイトはマーブル、黒はバサルトのようなマットでモダンな表情です。
スタイリッシュでありながら、柔らかな感触と、様々な機能性とエシカルな物語性を持つ「コルクコンフォート」は、これからの日本の住環境のエレメントとしてふさわしい一つの選択肢です。

参考文献
『The Future is our Present』(Antonio Rios de Amorim:著 Amorim社、2016)

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