GUIDEBOOK

床暖房とフローリング

床暖房に使用できるフローリングとは
2023/07/27

フローリングの機能説明で、「床暖房対応」と記載されることがあります。どんな機能性が対応しているのでしょうか。床暖房を導入する時に気になるフローリングとの関係を説明します。

床暖房の熱で変形せず、熱を効率よく伝える床暖房対応フローリング

床暖房は、電気を流すことで発熱するヒーターパネルや、給湯器で温めた温水を流すパイプを、フローリングの下に敷き詰めて施工されます。ヒーターや温水の熱に温められたフローリングは蓄熱し、ふく射熱で部屋の空気全体を温めます。身体が触れるフローリング表面は低温やけどをしないように30℃以下に保たれます。この熱によりフローリングが変形して不具合をおこさないことが、床暖房対応といわれる機能性です。また、床暖房の性能を妨げる(熱を伝えにくい)ものでないことも求められます。

ヒーターに直接フローリングを貼るタイプと、ヒーターの上に合板を貼った上に施工するタイプがあります。

熱でフローリングが変形するとは

フローリングは無垢の木、無垢と合板の組み合わせなど、木を加工して作られます。自然素材の性質を宿しています。木は細胞の周りに細胞壁を持ち、成長が終わった細胞部分が空洞となり残った細胞壁が硬化して硬い組織をつくります。伐採直後の丸太は内部に水分が蓄えられた状態です。天日で乾燥させると空洞の水分は蒸発しますが、硬い組織に取り込まれた水分はなかなか離れません。その状態でフローリングに加工すると、床暖房で温められた木の板は徐々に乾燥していき、干物のように水分が抜けた分縮んでいきます。その結果、割れ、ヒビ、反りといった変形をおこします。これがフローリングが熱で変形する原因です。
床暖房の熱で変形しないレベルまで人工的に乾燥させた木材からつくられた、形状安定性の良いフローリングが床暖房に対応しているということです。

床暖房対応フローリングの基準

建材の試験機関でおこなわれているのは、「ガス会社統一基準方式」による温水床暖房用熱耐久性試験です。床暖房には高温式と低温式があります。ガス給湯器で80℃までの温水を流すのが高温式。60℃程度までの温水を流す給湯式と電気ヒーターパネルの場合が低温式です。フローリングの熱変形のリスクが高い高温式で試験をおこないます。実際と同じ方法でフローリングを施工し、最高温度の80℃の温水を約46日間保ち、サイズ変化や反り、表面温度の変化などを測定します。その結果をガス会社が基準内であると評価したものが床暖房対応と表記されます。

床暖房対応フローリングの施工で注意すること

必ず耐久性試験と同じ性能がでるように、メーカー指定の施工方法通りに行うことが大事です。発熱体のシートに直に貼れるもの(直貼り)や、ベニヤ板を貼った(捨て貼り)上に貼るものなど施工方法はそれぞれ違います。また、どちらも接着剤と釘を併用して下地にフローリングを固定していきます。そのため、電気式なら電線、温水式ならパイプに釘を打つと断線、漏水の原因になり大変危険です。捨て貼りの場合ベニヤの上に電線やパイプの位置を記録して、それを避けて釘を打つなど、施工後見えなくなる部分の不具合が起きないよう、床暖房対応フローリングの施工には慎重さが求められます。

捨て貼りした合板の表面にヒーターの位置を記録して安全に施工します。

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