Cartolina カルトリーナ はイタリア語で「絵葉書」。旅先から送る絵葉書のように、
イタリアを始めとするヨーロッパの暮らしに息づくスタイルやライフシーンをお届けします。
結局のところ、美味しい料理の基本は素材ですよね。イタリアにも美味しく安全な食材を手に入れることのできる場所がたくさんあります。
冬の間は平地の牛舎で暮らす牛たちは、5月から9月までの夏は山に移動して高原の牧草を食べてのんびり(に見えます。。)暮らします。その牛のミルクから作られるバターやチーズはスーパーで買うものとは全く違う濃厚な風味がします。
南アルプス山脈のチーズ農場
放し飼いの鶏の卵や採れたてのミルクやチーズを買うために山小屋を訪れました。
イタリア語でこのような山小屋はMalga(マルガ)と呼ばれます。山の下の町に本拠地のあるチーズ農家は一家でこのような人里離れたMalgaに牛や鶏やロバたちと一緒に移動し、牛小屋の上に寝泊まりして春から夏の5-6ヶ月を過ごします。アルプスの少女ハイジの世界そのものです。現実論から言うと、このような山小屋は自治体の所有で農家は山小屋とその周りの高原を無償で借りる代わりに、農家の人々は周辺の森林を管理しながら牛を育てます。牛は牧草をどんどん食べるので高原は草刈りをせずともあるべき状態に保たれ、森では自治体の森林管理者によって計画伐採された木が山小屋にすむ農家によって集積され薪として使われます。生産されたミルクやチーズやバターの収益は当然自治体に対する納税の基になるので、いわゆるギブアンドテイクです。
一度口にしたら2度とスーパーで卵が買えなくなほど新鮮で美味しい卵を産んでくれる鶏たち。
料理は好きなので手間暇かけた一皿を作って味わうことも多い私ですが、このような素朴ながらも最高級の素材を前にすると、素材そのものを味わえることの幸せを実感します。
それにしても、山小屋の農家のご夫妻は70歳を超えています。イタリアも少子高齢化では日本に負けないレベルです。このチーズ作りを継承して牛たちを育て続ける後継者が居るといいのですが。