STYLE OF EUROPE

イタリアのサステナブルな暮らし方

2023/10/12


2020年以降のイタリアでの暮らし方で何が一番変わったかというと、環境とエネルギー問題が日常生活に直結して、地球環境という大きな枠でのテーマだったものがそれぞれの個人や家庭の重要なテーマとして重要な位置を占めることになった事ではないかと思います。
具体的には、エネルギーコストの増加とその背景にあるそもそものエネルギー源の不安定さと供給量の懸念、もっと直感的に言うとガス・電気料金の請求書を見てショックを受けるほどの値上げと2022年春の政府による「イタリア全家庭がこの冬を越せるだけのエネルギー貯蔵量がないかも」発表があり、同時にEUコロナ回復プログラム資金を資金源とした「建物の高断熱化によるエネルギー対策」のための改築費用の110%補助制度、自動車の排気量による市街地での交通規制の強化、街中の道路の自転車専用帯の増設などたくさんの政策が実行されています。政治批判を3度の飯より愛するイタリア人にとっては全ての政策が欠点だらけでありながら、自分自身にメリットがある制度には批判をしつつも誰よりも早く飛びつく国民性のおかげで、イタリア中の至るところで外断熱工事、暖房改装工事、ソーラーパネル工事、窓の交換、ありとあらゆる改装工事が進んでいます。
だって110%の補助金が建設会社に直接支払われるので、施主の負担はゼロでお家が夏は涼しく冬は暖かくなり、窓は隙間風が入らず、暖房費も節約できるようになるから、みんな申し込みますよね。そのほかにも家を改装して家具を新調したら最大半額が未来5年の納税から相殺返還される制度もあり、中古住宅を購入改装することの多い市街地の不動産売買は白熱化しています。


コロナ以降、デスクワーク系のお仕事をしているイタリア人は100%在宅あるいは週に1ー3日の在宅勤務が普通になりました。ビデオミーティングは既に日常で、仕事人のいる家庭の多くの朝の会話は私と同じように「今日わたしは10時と12時にコールの予定だから、静かにしてね!」と言う感じだと思います。当然ですが交通量は比較的減ってバスや地下鉄は以前より空いているはずです。それに加えて今ミラノなどの都市部では自転車やキックボードでの移動が増えました。今は新しい道路規制や自転車専用帯などに対して皆が少し混乱している上、ミラノ市が街中の速度制限を30km/hにすることを検討しているので、反論も盛り上がっています。

ですが、私の感じるところ、これらの「ゆっくりクリーンな交通運動」に対して反論する人達の論拠は「移動時間が長くなる、自転車帯のせいで路面駐車ができなくなった」という、この人社会の共有メリットって考えたことあるのかな、自分さえ良ければいいのかな、と言う感じです。それに反し、速度制限や交通規制は確かに通勤も面倒になってしまうけど、いつか始めなければ将来もっと大変な問題が起こるからやるべきだという20代〜30代の若者が結構大勢います。比較的アカデミックレベルの高い若者に多いと思います。世界中の傾向かもしれませんよね。どんどん広がっていくべきと思います。

そのようなエシカル思考を持ったヨーロッパの若者は、公共交通だけでなく生活全般でよりサステナブルによりエシカルに・・を求めている人が多いと感じます。特に食べることと住むことに関しては高い意識を持った人が多いです。BIOや生産者認証のある食材、小規模生産者からの購買を心がける、食材を無駄にしない(Zero waste) のレストランが注目されるなどなど。インテリアに関しても、素材への関心、生産時も含めて有害物質を使用しない製品を使いたい、生産現場の人に関わる安全ケア基準を守っていない製品の排除など、よくそこまで知ってるな。。。と思うくらい意識が高い若者が多いと感じます。多くの大学のマスターコースにサステナビリティ・マネージメントコースがあり、スタートアップ事業はそもそもサステナブルテーマを外しては大きく注目されない時代を反映しているのでしょうか。

Made in Europeの厳選された最高品質フローリングとマテリアル、機能的で美しい
オリジナルブランドの木質系内装仕上材を販売しています。デザイナーのクリエーションにサプライズを。