FLOORING
SDGsとインテリアマテリアル

木質系マテリアルとSDGs

天然木を加工するインテリア製品メーカーのSDGsへの取り組み
2023/11/20

天然木を加工したフローリングや化粧板などを、私たちはヨーロッパのメーカーから輸入し販売しています。最近日本でも関心が高まっているSDGsへの取り組みですが、ヨーロッパの製造業ではすでに常識です。その取り組みを具体的に見て学ぶ前に、天然木を使った製品にとってのSDGsとは何かをまとめてみます。

木材は地球温暖化の防止に貢献

樹木が成長する過程で、光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込み貯蔵します。伐採して木材に加工し製品化することで、大気中の二酸化炭素を固定することになります。金属やプラスチックなど、原材料を得るために多量の熱エネルギーを使う場合と比べて、資源採取の時点でカーボンニュートラルを実現しています。伐採後、植林して樹木を育てることで、さらに地球温暖化の防止に貢献します。違法伐採されて植林がおこなわれないと、このサイクルが壊れてしまいます。そのため、植林され管理された森林から供給される木材を使用することが重要です。1993年にWWFなどがFSC(Forest Stewardship Council 森林管理協議会)を設立して、責任ある森林管理から生産される木材を認証する制度が生まれました。この認証材を使うことが前提となります。

製造時の取り組み

樹木を木材に製材する。木材を製品に加工する。これらの製造時の環境負荷を減らす取り組みをおこなっています。製材した木材は水分を多く含むため、乾燥の工程が必要です。キルンと呼ばれる乾燥室に熱した蒸気を送って乾燥させます。その熱源として、製材時に出る樹皮や曲がり材、加工工程で出る端材などの木材を使ったバイオマス燃料を使うことで、CO₂排出量の多い化石燃料を代替えしています。燃焼で出た灰は肥料としてリサイクルされます。加工機械を動かすための電気エネルギーを工場に設置したソーラーパネル発電で得たり、グリーンエネルギーを利用しています。

人々のウェルビーイングに貢献する

フローリングは敷き込むときに板同士を連結するための凸凹の加工が側面に必要です。そのため厚さが12mm前後あります。無垢フローリング以外は、表面の薄い無垢板と基材の合板の接着に接着剤が必要です。合板自体も薄板を何層も接着して作っています。製品に残留する接着剤成分が揮発してシックハウスの原因となりますが、人体に影響を与えない接着剤を使用しています。表面を着色したり、強度を増すためのコーティングとして塗料が使われます。揮発性溶剤を使った塗料は同じく製品残留成分がシックハウスの原因となります。そのため、揮発性溶剤を使わない、紫外線を当てると瞬時に塗膜が硬化するUV塗料を使っています。接着剤も塗料も、最終的に使用する生活者の健康を守るとともに、工場で働く人の健康や安全に寄与しています。

EUの環境政策

2019年、欧州委員会は2050年までにEU域内の温室効果ガス排出をゼロにする「欧州グリーンディール」を発表しました。これに答えるように、特に製造業は自社製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)を公開しています。これは、製品の資源採取、生産、使用、リサイクル、廃棄まで全ての行程で排出されるCO₂ の合計を数値化した資料です。私たちの扱っているフィンランドのフローリングメーカーのLCAを見ると、CO₂排出量が 5.32 kg CO2 eq/m2 です。欧州で一般的なラミネートフロア(高密度木質繊維板の上に木目を印刷したフィルムと人工樹脂のシートを接着したもの)の約1/4の量に抑えられています。これは、世界で初めて炭素税を導入した環境先進国フィンランドが、排出量抑制のみならず、カーボンハンドプリント(製品が気候に与えるプラスの影響)にも注力しているからです。つまり、原材料が天然木であることが寄与しているのです。

環境を考えた商品開発

欧州では、コロナ禍やウクライナ紛争によって、ここ数年木材資源の調達が困難になっています。欧州グリーンディールによっても、生産と消費の在り方をとらえ直すきっかけとなっています。欧州ではフローリング用樹種としてオークなどの広葉樹で幅が20cmほどの幅広のものが高級とされてきました。広葉樹は育ちが遅く、伐採まで80年前後かかりますが目のつまった硬い木材が得られます。杉などの針葉樹は成長が早く30年前後で伐採できますが材質が柔らかく合板などに使われます。貴重な広葉樹を効率よく使うため、フローリングの厚さ12mmを無垢材で作るのではなく、3mmの無垢材を表面に使い、残り9mmを針葉樹の合板を貼って使うことで、約4倍の面積に敷くことができます。これまで廃棄していた幅が狭い木材も、幅6cm程度のフローリングにすることで製品化できます。針葉樹の森が広がるフィンランドでは、硬質なコーティングをほどこすことで、針葉樹を表面材に使ったフローリングを開発して、自国材だけで作り、広葉樹を輸入するウッドマイレージを減らし、輸送時のCO₂排出量を削減しています。CO₂排出量軽減の優等生である木材を、廃棄を少なく有効利用する。製造にかかわる環境負荷を減らすなどの取り組みを、製品開発によっても解決しています。

まとめ

  • 樹木が成長する過程で取り込んだCO₂を製品化することで固定する。
  • 植林による持続的なCO₂削減のため、植林材を証明する認証材を使う。
  • 木材乾燥のための熱源に、製造時に出た廃材のバイオマス燃料を使用する。
  • 製造に必要な電力をソーラー発電とグリーンエネルギーでまかなう。
  • 人体に無害な接着剤とUV塗料を使い工場で働く人の健康を守る。
  • 広葉樹を効率よく使うための、無垢材に合板を貼った複合フローリング。
  • 木材の廃棄を減らすため、幅が狭い木材を使ったフローリングの製品化。
  • 自国内の木材だけ使用して輸送時のCO₂排出量を削減。

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