GUIDEBOOK

消毒剤、除菌剤は大丈夫? ワックスは必要?

フローリングにはワックス掛けが必要だと思っていませんか
2023/07/26

日常的に除菌スプレーを使用することが増えています。手や服にスプレーすると拡散した除菌剤がフローリングを濡らすことになります。また、床を消毒するために塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)などを薄めて拭くこともあります。これらの薬品はフローリングにダメージを与えるのか、また、よくお問い合わせのあるワックスの使用についても併せてご説明します。

予防的に毎日使用することはフローリングにダメージを与えます

<除菌スプレー(アルコール)>
日常的に使う除菌スプレーはアルコール(エタノール)系です。使用できないものとして、「ワックス・ペンキ・ニス・ラッカーなどの塗装部、アクリル樹脂製品、白木や桐」とあります。アルコールは油を溶かすため油分を含む塗装面には使えません。またアクリル樹脂にはクラックや白濁が生じることがあるので使えません。これをフローリングで考えてみると、表面のコーティングの成分によって使えないものがあるということです。
除菌スプレーの製品Q&Aに、「床にスプレーしたら白くなった」という問いに「床に塗ったワックスにアルコールが作用して変色したものと思われる。ワックスやペンキ、ニス、ラッカーなどの塗装部に使用すると変色したり、べたついたりする。」旨の回答がされています。
表面保護の目的で塗られるワックスで一般的な、合成樹脂が主成分のものの表面にアルコールが作用すると塗膜が溶けたようになり、微細なデコボコが光を乱反射させて白く見えます。
複合フローリングで一般的なウレタン塗装仕上げのコーティングには言及されていません。すぐに拭き取ればダメージが無いように見えるからでしょうか。ただし、多くの家具メーカーがウレタン塗装のテーブルにアルコール除菌スプレーを使用することに注意喚起をおこなっています。毎日繰り返していると次第に表面がべとべとしてきて白濁するようになるという現象が起きているからです。
ご自宅のフローリングのコーティングの成分がわからない場合や、賃貸などでワックスがけの有無がわからない場合など、床に対して除菌スプレーを予防的に毎日使用するのはさけたほうが無難です。

<塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)>
生活のなかで、床を汚し消毒が必要になる場面は避けられません。フローリングをハイターやブリーチなどの次亜塩素酸ナトリウムが主成分の漂白剤を希釈して消毒することができます。哺乳瓶用のミルトンや病院や厨房でよく使われるピューラックスも同様です。それぞれ用途に応じてその都度原液を希釈して使います。原液を使用したり、こぼして放置するとフローリングはダメージを受けます。必ず希釈濃度を守り、水溶液を含ませた布で表面を拭いて消毒したら、すぐに水でぬらして硬く絞った布で表面の薬剤を拭きとってください。ただし、予防的に毎日繰り返すような使い方をするとフローリングの表面はダメージを受けます。消毒したいときに対処的に行うようにしてください。

<住居用洗剤(界面活性剤)>
マイペットなどの主成分が界面活性剤の住居用洗剤は、COVID-19ウイルスへの除菌効果がみとめられています。用法に記載されているように、用途に応じた量を必ず水で薄めてから布をひたしてしっかり絞って使い、すぐに水でぬらして硬く絞った布で表面の薬剤を拭きとることが大事です。塩素系漂白剤と同様に、予防的に毎日繰り返すような使い方をするとフローリングの表面はダメージを受けます。あくまで、掃除目的で月に1回程度の頻度で使用することをおすすめします。

フローリングにワックスがけは必要か?

ワックス(Wax)は蝋のことです。古くから植物や鉱物、ハチの巣から採取されていたロウソクなどの原料です。現代では合成ワックスが主流で、一般的なフローリング用ワックスは合成樹脂が主成分です。無垢フローリング用に昔ながらの蜜蝋ワックスも販売されていますが、ここでは「ワックス=合成ワックス」として説明します。
「フローリングにワックスをかける」という意識は小中学校での掃除の体験がもたらしたものと考えられます。ビニールの床でも表面の保護目的で、学期末にワックスがけをするといった経験があると思います。土埃りが入り、上靴で歩くため、床表面を傷めないためにおこないます。

日本の住宅のフローリングは裸足やスリッパで歩きます。ちなみに室内用スリッパは日本独自の文化です。学校と違って住宅では歩行によるフローリング表面へのダメージはありません。しかし、椅子を引いたり、重いものを落としたりするとダメージを受けます。その保護のためにワックスを使うべきかどうかは、フローリングの表面仕上げの種類によります。

<オイル(無垢、複合フローリング)>
無垢や、2~5mm厚の挽板を表面に貼った複合フローリングが自然志向の住宅の床材として使われます。表面をコーティングすると、無垢の木の肌触りや調湿効果をさまたげます。そのため、植物油脂などを調合したオイルを表面に擦り込んで手入れします。オイルは浸み込むので、表面を隠蔽しません。浸み込んだオイルは徐々に硬化して、過度な乾燥をふせぎます。表面を隠蔽するワックスがけはオイルの良さを損なうため必要ありません。

<蜜蝋ワックス(無垢、複合フローリング)>
フローリング用に、100%天然由来のワックスとして、ハチの巣から採取した蜜蝋ワックスが販売されています。オイルと違い、成分が浸透するのではなく、表面に固形分としてとどまります。オイルより手軽に使えるため、無垢材の風合いを残した汚れ防止として使われます。合成ワックスより塗膜は弱いですが、風合いを大事にするのであれば、さらにワックスがけをする必要はありません。

<ウレタン塗装(フローリング全般)>
フローリングや家具などの木製品の保護として一般的に使われるのがウレタン塗装です。液体状の塗料に含まれる合成樹脂と硬化剤が反応してウレタン硬化をおこし、溶剤が揮発すると硬くて透明な皮膜が表面を隠蔽してコーティングされます。水や汚れが木内部に浸透するのを防ぎます。オイルや蜜蝋ワックスのように自分で塗り直すことはできません。そのため、ウレタン樹脂の塗膜の減りを保護するためにワックスをかけます。必ず必要ではありませんが、椅子を引きずるダイニングルームや、砂埃の入りやすい場所など床に傷がつきやすい部屋には効果があります。

<UV硬化型塗装(フローリング全般)>
内装材の残留化学物質が健康を害するシックハウス問題により、揮発性の化学物質の使用が控えられるようになってきました。また、SDGsに沿った健康危機への取り組みとして、工場の製造工程において、働く人の健康を守るため、揮発性溶剤の不使用が進められています。そのため、最近のフローリングの塗装はUV硬化型が主流となりつつあります。木材の塗装は、液体状の塗料を塗って固形物として表面に定着させる必要があります。従来のウレタン塗装は、揮発性の溶剤で液体状の塗料をつくり、時間経過とともに揮発させて固体としていました。UV硬化型塗料は、紫外線を照射すると瞬時に液体から固体へ変わる合成樹脂を溶剤の代わりに使うことで、揮発性化学物質を全く使用しない方法です。溶剤型のウレタン塗装よりも塗膜を厚くでき、耐久性を向上させることができます。そのためメンテナンスフリーと表記してあるものもあります。通常の生活環境であればワックスをかける必要はありません。

Made in Europeの厳選された最高品質フローリングとマテリアル、機能的で美しい
オリジナルブランドの木質系内装仕上材を販売しています。デザイナーのクリエーションにサプライズを。