フローリングのデザイン

細長い板を並べる。正方形の板を並べる。フローリングは板を縦横につなげて並べ固定することで大きな床面をつくります。並べるときの方向性や、幾何学的な法則性などによってデザインが生まれます。代表的な貼り方と、板の形状からデザインされたListone Giordanoブランドのシリーズをご紹介します。

基本的貼り方

＜壁に平行に貼る（Horizontal Strip）＞
標準的なフローリングは幅9cm長さ180cm程度の細長い板です。長方形の部屋に敷く場合、部屋の長辺の壁とフローリングの長辺を平行に並べていくことが基本です。例えば部屋の長辺が4mとすると、3本目は長さ40cmで切ることになります。余りの140cｍの板を次の列の最初に持っていくと継ぎ目がずれます。これを乱尺（Random）貼りといい、基本の貼り方です。材料を無駄なく使うことと、継ぎ目が分散するため、はがれにくく、床鳴りなどを防ぐ機能的な貼り方です。

あえてデザイン的に継ぎ目をそろえる定尺（Stack）貼りがあります。手作業で床材をつくっていた時代は幅が広く長い板をつくるのは困難でした。幅が狭く短い板を整然と並べる貼り方は、ヨーロッパのノスタルジックなデザインイメージです。目地が揃うため、板の加工精度と慎重な施工が求められますが、端正な美しさが感じられるスタイリッシュなデザインです。

貼り方のデザイン

フローリングはヨーロッパ起源の木の文化です。中世では手作業で板材を切り出すため、幅が広く長い板を得るのは難しく、床材には短い板を無駄なく使う工夫がなされました。短い板を装飾的に貼る技法がデザイン貼りのルーツです。

＜幅違いのミックス貼り（Ancien）＞
ヨーロッパ中世の時代、手作業で板に製材する時、貴重な材料を無駄にしないため、幅や長さが違う板が普通でした。それらを床に貼ったいにしえの姿。このビンテージ感のある貼り方を私たちはAncien（エンシェン：いにしえ）と呼んでいます。現代においても貴重な無垢の板を無駄なく使う、エシカルな理念を表現するデザインです。

＜ヘリンボーン（Herringbone）＞
ウールのジャケットなどに使われる杉綾織りはヘリンボーン柄と呼ばれます。ニシンの骨の意味ですが、三角形のリピートのイメージから来た呼び名です。

フローリングのデザイン貼りとして人気の高いものがヘリンボーン貼りです。同じ幅と長さの短めの板を山形に組み合わせてリピートして貼っていきます。これも短い板を床に貼っていた昔のデザインですので、オーセンティックでエレガントな印象を空間に与えます。

＜壁に平行に貼るヘリンボーン＞
矢印型のヘリンボーンは方向性を強調するデザインですので、狭い場所ですとうるさい感じを与えます。コンパクトな日本の住環境にフィットする貼り方として、私たちは壁に平行に貼るヘリンボーンを提案しています。主張がやわらぎつつも心地よいリズム感が感じられます。

＜シェブロン（Chevron）＞
シェブロンとはフランス語で山形のカタチを意味します。フローリングでシェブロン貼りというと、平行四辺形の板を組み合わせたヘリンボーンを指します。ジグザグに見える目地が無く、スッキリとしたデザインです。平行四辺形の角度が45°のものが一般的ですが、私たちは60°のデザインを提案しています。やさしいおおらかさがあり、空間に広がりをもたらします。

＜コーム（Comb）＞
櫛の形のように見える貼り方をコームと呼びます。定尺（Stack）貼りの継ぎ目のところに直交する板を挟むように並べます。これも短い板しか無かった時代のデザインです。奥行き感が生まれ几帳面な印象のデザインです。

＜パーケット（Parquet）＞
細かい板を組み合わせる技法である寄木細工で作られた板をパーケットと呼びます。短い板を装飾的に組み合わせて利用するいにしえのデザインです。宮殿の舞踏会を想起させるクラシックデザインですが、モダンな住空間にも映えるタイムレスデザインです。

フローリングの形をデザインする

フローリングは長方形。そんな誰も疑わなかったことを覆す。フローリングのトップブランドであるリストーネジョルダーノが、2006年にグッゲンハイム美術館で発表した「natural genius」シリーズはインテリアデザインの世界に衝撃と称賛を持って迎えられました。デザイナーがデザインしたフローリングの誕生です。

＜natural genius＞

文化、歴史、哲学という素質に好奇心というエッセンスを加えたイタリアンデザインの真髄がここにあります。美しく、理屈っぽく、しかも楽しいフローリングのデザインはこれだけではありません。こちらのサイトで未知のフローリング体験をお楽しみください。