Cartolina カルトリーナ はイタリア語で「絵葉書」。旅先から送る絵葉書のように、
イタリアを始めとするヨーロッパの暮らしに息づくスタイルやライフシーンをお届けします。
ミラノに住み始めたのが1992年の春なのでもう30年以上前の話ですが、最初は結構いろんな小さなカルチャーショックの連続でした。
野菜や果物が量り売りで形やサイズはバラバラで青空市場や八百屋さんの店先がすごくカラフルなこと。野菜類の種類が多いこと。食品や日常品のお店の営業時間は午前と午後で、お昼は3時間くらい閉まってしまうこと。
朝ごはんは家の近くのバールでエスプレッソとブリオッシュだけの人が結構多いこと。
東京の乾燥した青空の冬と正反対で、ミラノの冬は朝から濃霧が出て1日に2時間くらいしか陽がささず、石畳の道が湿っぽく街全体が冷蔵庫の中のように底冷えがして普通の靴で歩いていると体が芯から冷えること。冬は底の厚い靴を履かなければ風邪をひいてしまうのだと人生初めて実感した事。
2000年ごろまでのミラノの8月は皆バカンスで街から脱出し、食品や生活必需品のお店もほぼ全て1ヶ月休業になってしまうこと。今は8月全休という会社やお店は少なくなってきたとは言え、やはり8月のミラノは旅行者の方が多い街になる。
イタリアに住み始めて一番驚いたのは
イタリア人はTシャツもジーンズも下着も靴下もタオルも、全ての洗濯物にアイロンをかける事。
アイロンの熱で消毒できるから、綺麗に畳んでしまう方が気持ちいいから、全ての主婦は全員毎日アイロンかけるから、などなどいろんな理由を説明されるのですが、おそらくイタリア人的な身だしなみの(全員ではないにせよ、多くの人にとって)最重要ポイントが『清潔感』だからかな、と思います。
きちんとアイロンのかかった清潔な服は特別な品質やブランドで無くてもとっても品が良く見えますから、見た目の良さが重要なイタリア人にはアイロンは必須です。
でもジーンズや靴下や下着はやりすぎかも・・・と思いつつ、アイロンがかかった服や下着はクローゼットやタンスでも嵩張らず整理整頓しやすいので、面倒でもひたすらアイロンをかける、あるいはアイロン専門のお手伝いさんに週に1ー2回きてもらうのが一般です。
イタリア人は自分の住まいをものすごく綺麗に保ちます。
食後の洗い物が終わったら台所を隅から隅まで綺麗に片付け、ステンレス類はアルコールでピカピカに磨いて、ダイニングは掃除機または箒で掃き、人によっては毎回モップ掛けもします。
ベッドリネンは毎朝ホテル並みにピチッと整えます。
どのお宅に伺っても、リビングルームなどは写真撮影のために飾りつけたように整理され飾りつけられています。
ですが、残念ながらイタリア人の公共の場所でのエシカル度は低いです。タバコの吸い殻を平気でどこにでもポイしますし。自宅の掃除は手抜きでも公共の場を汚さないように心がける日本人とはその点は真逆です。
イタリア人はいつもおしゃべりをしているような印象がありますが、言語的に文法をきちっと守って話さないと意味が通じないので起承転結を端折らずに話す結果、会話が長くなる傾向があります。その上イタリア人は理屈っぽいので結局話が長いです。さらに多くのイタリア人は地声が大きいので余計たくさんしゃべっているように見えます。同時に、日本人に対しては「常に静かで礼儀正しき日本人」と思っていますので、居酒屋などで大笑いしてる人たちを見てびっくりします。
まあ、私の知るイタリアはミラノなので、日本に根付くイタリアイメージの、のんびり、温暖、陽気で歌う素朴な人々的な南イタリアとは全く違うとはおもいます。ミラノは東京よりも時間に追われ仕事の競争は激しく人々と街はストレス満載で交通渋滞はひどく冬はマイナス5℃で夏は40℃、物価は高く家賃もべらぼうに高くランチはどんなに安くても3000円くらいかかり残業は当たり前で地下鉄はスリだらけで路上は引ったくりだらけです。それでもミラノは輝いている。独自性と活力がダメな部分を大きく凌駕し、多くの人を惹きつけています。