Cartolina カルトリーナ はイタリア語で「絵葉書」。旅先から送る絵葉書のように、
イタリアを始めとするヨーロッパの暮らしに息づくスタイルやライフシーンをお届けします。
一般的に、木質系の素材を使った幅10cm位で長さ180cm位の板状の床材をフローリングと呼びます。側面に実(サネ)という連結するための凸凹を加工するため、厚さが1cm以上必要になります。この厚みの作り方でフローリングの性格が違います。2種類に分類して説明します。*用語の説明は下記のコラム「製材の話」参照
<無垢フローリング>
無垢の木の板だけで作られたフローリングで、一枚板と集成材の2種類の作り方に大別されます。OPC(One peace)と呼ばれる1cm程度の厚さに挽いた挽板に実加工した一枚板のもの。UNIタイプと呼ばれる長さ方向に数枚の板を継いだものと、FJL(Finger jointed lamination)と呼ばれる幅方向と長さ方向ともに数枚の板を貼り合わせた集成材のタイプです。 厚さ1cmで幅10cmの長い板を得るためには樹齢が長く径の太い木が必要となるので希少なものです。一枚板のものは製造時に接着剤を使用しないので、植物性のオイルを拭き込んだOPCフローリングは、健康面において安心で、足ざわりも快適です。無垢の家具を愛着持って使い育てるように経年変化も味わいとなります。震災後、省エネが住宅にもとめられるようになり、高気密化、エアコンの効率利用が進んでいます。この状況下で無垢フローリングの懸念点として、冬場の過乾燥があげられます。木の板は乾燥すると縮み、反ります。またヒビや割れもおこります。一枚板のフローリングはこの形状変化を受けやすいのです。まめなオイルの拭きこみなど手がかかりますが、自然素材ゆえの楽しみでもあります。そして、長年使って貼り替えの時期になっても、表面を削って再生させる工事を行うことができます。
無垢フローリング
<複合フローリング>
複合フローリングとは、合板や集成材を基材にして表面に無垢の木を貼ったフローリングで、無垢の木の厚さで2種類に分けられます。厚さ2mm~4mm程度のものを「挽板複合フローリング」、厚さ0.5mm程度のものを「突板複合フローリング」と呼びます。
無垢に比べ、湿度による形状変化が少なく安定している合板や集成材で厚みを確保し、貴重な無垢材を薄く挽いて表面を化粧したフローリングです。室内環境の変化を受けにくく、強度の高い表面コーティングを施された製品が多く、メンテナンスが楽です。基材の製造及び基材と化粧材の接合に接着剤が使われるため、有害物質の放出量規制基準の最高ランクであるF☆☆☆☆(フォースター)を取得している製品を選ぶ必要があります。
左:挽板複合フローリング(表面挽板4mm) 右:突板複合フローリング(表面突板0.5mm)
日常生活を気兼ねなく過ごせ、無垢の木の良さを長年楽しめる形状安定性の良いヨーロッパ製の厚挽板複合フローリングを私たちはおすすめしています。突板複合フローリングはひっかき傷や硬い物を落とした凹みにより基材が露出するので長年の使用にはむきません。手間をかけずに良いものを長く使い続けられるフローリングとして、挽板の厚さが2.5mm~5mmのものしか私たちは扱っていません。生活上の傷が基材までとどかず、無垢と同じような歩行感が得られ、削り直しができる厚さが必要だからです。
サステナビリティの観点からも、一枚板無垢フローリングに比べて希少な一枚板を3~4倍の面積に展開でき、資源の有効利用につながるエシカル性を持っています。また、ヨーロッパは森林認証制度を順守しており、私たちが扱うのはなかでもヨーロッパで植林、管理された森林の認証材を化粧材にも基材にも使用したフローリングです。
FSC認証
Forest Stewardship Council(森林管理協議会)の国際的な森林認証制度で認証された、責任ある森林管理から生産される木材とその製品を使用しています。
PEFC
Programme for the Endorsement ofForest Certification Scheme(PEFC森林認証制度相互承認プログラム)に認証された、持続可能な森林管理で得られた木材を使用しています。
F☆☆☆☆
欧州のホルムアルデヒド放出量規制での最上級規格E1 class より放出量が半分に定められた、世界で一番厳しい日本のフォースターの認証を取得しています。
フローリングの種類について説明する際に必要な、丸太から板にする製材について説明します。
<挽板>
原木の枝を落とし、4~6mの長さに切った丸太を立木の時の上下方向にカットして板状にします。樹皮を剥いだ丸太を台車に寝かせ、帯鋸に押し当てるように動かしてカットしていきます。帯鋸とは、長い鋸の刃がループ状になったものを上下の回転盤に掛けて回転させることで、回転盤間の鋸刃が垂直に高速移動して均一にカットできるようにしたものです。この丸太を鋸でカットすることを「挽く」(ヒク)といい、それで得られた無垢の板を「挽板」(ヒキイタ)と呼びます。
帯鋸で丸太を挽く
<合板>
ロータリーレースという機械で丸太を板状にする方法があります。丸太の両端の円の中心に回転軸を押し当てて挟み、回転させます。そこに長い刃を押し当てながら、大根のカツラムキの様に幅広い板を突き出します。これで得られた厚さ2mm程度の板を複数枚貼り合わせたものが「合板」(ゴウハン)と呼ばれる90cm x 180cmなど大きさが規格化された板です。
<突き板>
ロータリーレースや、柱状の木を寝かせてカンナをかけるようにカットするスライサーによって、0.5mmにも満たない薄さに突き出した板を「突き板」(ツキイタ)と呼びます。これは化粧材として、合板の上に貼って木の質感を出すために使われます。特にスライサーによる突板は挽板と同じ木目の表情を持つため家具の表面に使われ、木目のきれいな貴重な木材を効率的に安価に利用することができます。
<集成材>
木は曲がったり、内部に空洞があったりしますので、良質な幅広の挽板が取れない部分は、良質の部分だけ細かい挽板(ラミナといいます)として取り出すことで無駄なく利用できます。そして得られたラミナを接着して大きな材料にしたものが集成材と呼ばれます。例えば3cm角で長さ30cmのラミナを長さ方向に6本つなげて180cmの角材にし、横に10本並べて接着すると幅30cm長さ180cmの板になります。集成することで反りや収縮が少なく、強度も増します。
細長い板を重ねて接着した集成材は無垢の木を効率よく利用できる